「じゃあね」
先生は背中を向けて病院の中へ消えていった。
大きな背中が消えるまで出口に突っ立っていた。
あたりは真っ暗で、また誰かに会いそうだった。
会うじゃなくて遭う・・・が正しいかな。
慶太と初めて会った日もこんな感じだった。
真っ暗な空なんだけど、空気がスッキリして気持ちよかった。
心の奥で、慶太と会えるんじゃないかと胸を膨らませながら、
コンビニで買ったお菓子を食べていた。
みんながまぶしい。
友達と騒いでいる若者も、恋人と肩を並べて歩く若者も。
お酒を飲んで上機嫌なサラリーマンも。
孫と手を繋いで帰っている老人たちも。
みーんな幸せそうだ。
神様は本当に不公平だ。
