店を出て、署に着く。
「じゃあ、私は会社に戻ります。」
「あ、ちょっと待って」
栗塚さんに呼び止められた。
「なんですか?」
「これ」
そう言って、栗塚さんは首から何かを外した。
クロスのペンダント…?
「こないだ、話した時に渡しそびれたんだ。」
そのペンダントは極シンプルで、
だけど、
どことなく気に入ってしまった。
「これは、君のなんだ」
「私の…?」
でも、
私に見覚えはなかった。
買った覚えも、
どこかで落とした覚えも
「このペンダントはね、芽衣が死ぬ前に君に買った物なんだ。」
芽衣ちゃんが…?
「“つきよちゃんはおとなっぽいからペンダントがいい”」
「え?」
「芽衣が言ったんだ。君の誕生日プレゼントだ。」
「あ……」
芽衣ちゃんが死んでしまう前、
確かに私の誕生日がもうすぐだったっけ……


