「知ってるんだね?」



「…はい」




やっぱり、この娘がつきよちゃん……




「そっか、君が“つきよちゃん”か……」



探してた、
やっと見つけた……




11年間、ずっと離さずつけていた彼女のペンダント




クロスを握り締める。



やっと、持ち主に返せるな……




ペンダントを外そうとした時……




ーPiPiPiPiPi……




「あ、ごめん。」




俺の携帯が鳴った。




「はい…?」



「先輩ーー!!書類整理が~…」



ーブツッ



ツーツー……




「神田、ですか‥」



「ごめん、」




ハンドルに寄りかかってため息をつく。




書類整理ぐらいできるようにならねーかなぁ‥




「それじゃぁ、私はこれで」




「あ、ちょ……」



ーバタン




「それじゃ!コレ私の名刺です!」




車を出た彼女が運転席の方に来て、名刺を渡す。




「裏に、私の番号書いてありますから、登録して下さいね♪」



確かに、書いてある。




「取り引きの事、」



「え?」



「…取り引き成立。」



「え、えぇっ!いいんですか!?」



「驚く事ないでしょ。君から言ったんだから。」



「…何で……?」




ポカンとしている彼女だったが、
次の瞬間ー……




「では!取り引き成立という事で!!」




右手を前に手を出してきた彼女。




「…よろしく」



軽く握手を交わす。




「じゃあ!連絡よろしくお願いしますね!」




そう言って笑い、アパートに戻る彼女。




「夏梨名ちゃん」



彼女を呼びかける。




振り向く彼女。




「おやすみ」




そう言うと、彼女は笑って、




「おやすみなさい」




手を降って、アパートに帰って行った。




俺は彼女がアパートの自室に入るのを見届け、車を走らせ、署へと神田の書類整理を手伝うため、帰って行った。