「えと…とにかく、騙しててすみませんでした!」



「いや別に…」



「じゃあ、私はこれで……」



彼女が車のドアを開けようとした時、



「……く、りづか、さん…?」




ふわりと、少しクセのある彼女の髪を自分の指を掠めた。




あぁ、この髪か…




「芽衣、っていう名前に聞き覚えは?」



「めい……?」



「11年前、○○総合病院に入院していた。7歳の女の子。」




そう言って、彼女は俺の瞳を見る。




そして、何かを思い出した様に……




「芽衣、ちゃんの、お兄さん…?」




俺の事を知ってるのか……