『………』
『い、壱十くん?…無言で立ち尽くすのは止めてや?』
無言だったのか。俺
『なんや、エーのでもあったんか?』
『んー‥』
『どないの?』
新橋が俺が見ていた所を見る。
『ほー!なんや、結構エエんやん?』
『じゃ、買ってくる。』
『ちょっ!そんな即決に…』
『ありがとうございましたー♪♪』
『買った。』
『さ、さよか…(汗』
俺が買ったのは店で一番シンプルなものだったが、
なんとなく、コレを買ってしまった。
まぁ、芽衣がイヤっつったら変えりゃいいし。
『じゃあ、俺、帰るわ。』
『ほ、ほーか。芽衣ちゃんによろしゅうな。』
『ん』
俺は新橋達と別れて病院に向かった。
芽衣の病室に向かう。
〔…何だ?妙に静かだな……〕
『……ック、ッグス…芽衣、ちゃ……』
泣き声?
芽衣って……
病室に入る。
『……え……?』
病室に居たのは、数名の医者と看護士達。
それから、ふわふわした黒髪の女の子。
そして、いつも笑っている芽衣。
そのハズなのに、
芽衣は笑ってなんかいなくて、笑顔どころか、顔に白い布が被されていて、
『どういう事だ…?』
『あ…壱十くん…』
『先生、どういう事ですか…』
『…ッつい先程、息を、引き取ったんだ…突然の発作で……』
『……』
『壱十くん…?』
『父と母に、連絡してきます。』
そう言って、俺は病室を出た。
病院の外に出て、携帯で連絡する。
『もしもし?母さん?』
父と母に電話をする俺の声は淡々としていて、
芽衣の死を説明する俺の頭も酷く冴えていた。


