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ー11年前
○○総合病院。
『あ!お兄ちゃん♪』
『芽衣、具合は?大丈夫か?』
『んー…おそらく』
『命に関わる冗談は止めてくれ。』
『はは♪ヘーキだよぉ♪それに最近、新しい友達ができたんだよ?』
『友達?』
『うん、そー♪つきよちゃんって言うんだよ?14才!年上ー♪』
『ふーん』
栗塚芽衣
クリヅカ メイ
当時7歳、
俺は17歳だった。
10歳、年が離れている妹。
心臓が悪く、4歳の頃から入退院を繰り返している。
当時、高校生だった俺は高校が終わると病院に来て、妹の世話をしていた。
父親は刑事。
母は弁護士として働いているため俺がこうして病院に来る。
そのせいか、
芽衣も年上に慣れ、老若男女構わず友達がいるそうだ。
無愛想な俺とは違う、なんとも優れた社交性。
だが、芽衣の病状は悪化していた。
医者からは、もう長くないと、言うことが伝えられていた。
だから、少しの間でも、多くの人間が芽衣の事を知っていて欲しいと、俺は思っていた。
『あのねー♪つきよちゃんってねー来週たんじょおびなんだって!』
『へぇー…そうか。』
つきよちゃんって子と芽衣は仲が良いらしく、よく遊んでもらうらしい。
『うん♪だからーお兄ちゃんつきよちゃんにあげるプレゼント買って来て!芽衣のかわりに!』
『はいはい。明日ね。』
『つきよちゃんはおとなっぽいからねーんーとぉ…ペンダントがいいなぁ!』
『はいはい。』
『はい!コレ♪芽衣のちょきん!』
渡されたのは、十円玉や百円玉の束。
『俺が買ってやるよ‥?』
『だめ!芽衣がかうの!』
『んー…まぁ、いいか。わかったよ。』
『じゃあよろしくね♪お兄ちゃん!!』
そう言って、芽衣はにっこりと笑った。
それが、俺が見た最期の、
芽衣の笑顔だったー……


