工場では機械音がして、近所迷惑にならないのか、と思う位だった。




工場に着くと男女が一組、話していた。


「あれ?誰だ?」




神田がウザイのでとりあえず喉に拳を一発。




呻いているが全く気にならねぇ、なんて事だ。ついに空気と化したか神田。




男は作業着のツナギを着ている事から工場の関係者である事はわかった。




女は……
後ろ姿だが、黒い艶のある髪。肩より少し下辺り。




黒いスーツだ。
タイトスカートではなく、パンツ。
ハイヒール履いてる。




男が困ってる。




助け舟では断じて違うがこちらも仕事だ。




「お取り込み中、申し訳ありませんが、」




俺の声に俺の方を向く2人。




ーへぇ……




女の顔は美人、の言葉の表現そのもの。




軽く化粧はしてるだろうが、
大人の女性な感じで、どこか冷めている、そんな印象だ。




「えと…どちら様だい?」




と、作業着を着ている男に話しかけられた。




「あぁ、失礼。こういう者です。」




スーツの内ポケットから警察手帳を見せる。




「警察かい…!!」




男は驚いているが女は動じない。




むしろ俺達警察が邪魔のように眉間にシワを寄せていた。