Secret Kiss

そして帰りのとき。



「はっきり言ったほうがいいと思うよ!」

葵はあたしの両肩を掴んだ。

「あの女の人のこと絶対聞いたほうがいいと思うよ!」

「葵…。うん」

「頑張ってね!うち応援してるからっ!!」

そう言って葵は手を振りながら帰って行った。



あたしは瑛斗の家で立ち止まった。
このままじゃイヤ。
なんとしてでも聞き出さなきゃっ…!

瑛斗から貰っている合鍵でドアを開けた。
中はシンとしていた。
2階にいるのかな…?
緊張しながら階段を登ると瑛斗の部屋に明かりが点いていた。
そして…。
思い切ってドアを開けた。

「瑛斗!あのさっ…!!」

えっ…?
なにこれ…。
なにしてんの…?

「誰あんた!瑛斗知ってる人ー?!」

一瞬、沈黙が続いた。
そして瑛斗は口を開いた。

「知らねぇよ。こんな奴」

え…。
嘘だよね…?
冗談だよね…??

「瑛斗。あたし…」

「人の邪魔すんなよ。それとも俺がヤってるとこ見てぇの?」

瑛斗に言葉を遮られた。

「ヤだぁこの子ー。人がヤってるとこ見たいのぉー?」

最悪だ…。
あたしの頭の中はすでに真っ白。

「瑛斗の嘘つき…。チャンスくれるって言ったじゃん!」


あたしは気付いたら瑛斗の肩を強く掴んでいた。