気付かれないように背後から、そーっと近付く。 「綾瀬くんっ」 目の前の背中を思い切り叩く。 「…っわあ。片桐か〜!はよー」 目を見開いて驚く綾瀬くんが面白くて笑った。 「おっまえ〜。笑うなよっ」 …あ。ほらね 綾瀬くんは 安藤先生に少し似ている。 笑った顔とか、口調とか… 少しドキっとしたのは秘密で。 「珍しいね。いつも電車なのに」 それに、いつもより元気なさそうな…。 はあー。と溜め息とともに、わかりやすく肩を落とす綾瀬くん。