ケイに掴まれたままの右手を引き抜こうと、左手をケイの手に沿える。
引き抜く力を込める前に、ケイが口を開いた。
『エリカ、この1年でどれだけオレの事考えた?』
思いもよらない問いに、私の思考は再び止まる。
どれだけって…
"ケイが居ないと生きて行けない程に"
そう言ってしまえたらどれだけ良いだろう。
「…何でそんな事聞くのよ?」
ケイが何を思ってそんな事を聞いたのか分からない。
それなのに変な返事は出来ない。
ケイの思いを図りかねて、言葉を紡ぐのも慎重になってしまう。
『だって、エリカが素直じゃないから。』
引き抜こうとしていた私の手を更に強く握り締めると、意地悪に唇の端が引き上げられた。



