どうしてもっと大事に出来なかったんだろう。

どうしてあんなにわがまま言っちゃったんだろう。

拓也さんはいつもいつも

私に真っ直ぐな愛情を見せてくれてたのに

その大きな愛情に甘えて、甘えて

甘え過ぎて。


在り来りな言葉だけど




無くして気づいた、大きな存在。





2度とあんな大きな人には出会えない。




23の冬。

拓也さんにフラれ、一週間経ったあの日までは


バイト先で知り合ったあいつに再会するまでは。







「お久しぶりです」

相変わらず無愛想だ。

新年会に忘年会にと、何かと忙しいこの時期に助っ人して呼ばれたんだろう。

フランクにも程があるわよ、うちの店。

「久しぶりだね。涼君」

卒業後、涼君はうちの店を辞め、とある会社に就職。

今は正月休み。