ワインボトルとグラスを手にした
爽介が、ソファに腰をおろしつつ
問いかけてきた。


ちなみに、本が重いんであたしは
床のカーペットの上に座ってる。


「どっちもよ。

こんなにバリエあったら、何を
チョイスすればいいのか全く
わかんない」


『センター』っていうのは、
ボンボン・ショコラの中身部分の
こと。


よく見かけるのはガナッシュとか
プラリネだけど、この本を見てる
と、まだまだ他にいろんなのが
書いてある。


一口サイズとはいえ、形だって
丸、正方形、菱形……ってイロ
イロ作れるし。


「たしか、20種類のアソートに
するんだったわよね?」


「だな。

でもまあ、コンクールでウケの
いいキホンを考えれば、ある程度
は方向が見えてくる」


爽介はガラステーブルに置いた
グラスにワインを注ぎながら
そう答える。


「ナニ? 

ウケのいいキホンって?」


「まずは、そのとき旬が来てて
ウマイ食材を使う。

後は、今回みたいな国際コン
クールなら、その国ならではの
素材を使うことだな」