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説明会が終わって、解散の号令が
かかると。
各自が席を立ち始めて騒がしく
なった室内で真っ先に声を出した
のは、矢崎さんだった。
自分の仲間にじゃなくて……爽介に。
「お疲れサマ
イロイロと発表になって、やっと
スッキリした感じだな」
……矢崎さんも、本選の内容が
わかんなくてモヤモヤしてたのは
一緒だったのかな。
「そーっスね」
椅子を直しながら短く答えた爽介
に、矢崎さんは続けて、
「お互い仕事と両立は大変だろう
けど、頑張ろう。
桐生クンの予選の作品はすばらし
かったけど、僕も負けないよ」
冗談めかした言い方だけど、
キッパリと言ってのける。
でも、普段モードに戻っちゃえ
ば、爽介だって負けてはいない。
「オレだってそのつもりですよ。
まあお互い、できるだけのこと
やりましょ」
「あぁ、そうだな」
気さくに頷いた矢崎さんの背後
から、ツカツカ歩み寄る足音が
迫ってきた。
――松岡さんのヒールの音だ。
説明会が終わって、解散の号令が
かかると。
各自が席を立ち始めて騒がしく
なった室内で真っ先に声を出した
のは、矢崎さんだった。
自分の仲間にじゃなくて……爽介に。
「お疲れサマ
イロイロと発表になって、やっと
スッキリした感じだな」
……矢崎さんも、本選の内容が
わかんなくてモヤモヤしてたのは
一緒だったのかな。
「そーっスね」
椅子を直しながら短く答えた爽介
に、矢崎さんは続けて、
「お互い仕事と両立は大変だろう
けど、頑張ろう。
桐生クンの予選の作品はすばらし
かったけど、僕も負けないよ」
冗談めかした言い方だけど、
キッパリと言ってのける。
でも、普段モードに戻っちゃえ
ば、爽介だって負けてはいない。
「オレだってそのつもりですよ。
まあお互い、できるだけのこと
やりましょ」
「あぁ、そうだな」
気さくに頷いた矢崎さんの背後
から、ツカツカ歩み寄る足音が
迫ってきた。
――松岡さんのヒールの音だ。

