「よく言うぜ……」


自由になった形のいい唇が、
優しいくせにイタズラッぽい、
魅惑的な笑みを浮かべてた。


「人前でキスしてる方が、よっ
ぽど恥ずかしいだろーが」


低くて甘い、あたしの大好きな声。


「仕方ないでしょ。

とっさだったんだから」


「プッ。

まぁいいよ。そーゆーことに
しといてやる」


言いながら爽介は、あたしの頬に
そっと片手を添えた。


「で、わかったのか?

オレがさっき言ったことは?」


「―――ウン……」




よくわかったよ、爽介。


爽介がそこまで言ってくれる
なら、あたしもう、クヨクヨ
なんかしたりしない。


あたしはあたしに、自信を持って
いいんだよね?