「オレは、こーゆーかしこまった
のはあんまりなぁ……」


――ウン、よく知ってるわよ。

でも、


「文句言ったってしょーがない
でしょ。

仮にも表彰されるつもりなら、
シャンとしなさいよ」


ピシャリと言い放ったあたしに、
爽介は渋い顔をしてまだなんか
ブツブツ言ってた。


そんな様子を見て、あたしの
向かいの鈴原さんが、


「ハッハッハ

桐生君も姉さん女房にかかれば
かたなしですなぁ」


「鈴原さん、それ激しく間違って
ます、一応」


『姉さん』でもなけりゃ『女房』
でもないし。


そう言葉もつけ加えたけど、鈴原
さんは聞いてんのかいないのか
よくわかんない顔で、もう1回
ハッハッハと笑う。


再び突っ込もうと軽く腰を浮かせ
たとき、周囲が急に賑やかに
なった。


隣のテーブルの一団がやって来た
みたい。