そのまま通り過ぎればよかった
のに、わざわざ声をかけたのは
――確かめたいことが、あった
から。
そこにはもうひとつ椅子があった
けど、さすがに並んで座る気には
なれないあたしは、その場に
立ったままおもむろに話し出す。
「昼間の、矢崎さんの試作品。
お店でメニューになってるもの
とは、フンイキが違ったわね」
ピクッと矢崎さんの眉が動いた
のを、あたしは見逃さなかった。
その態度に、あたしの胸に静かな
確信が生まれる。
「そりゃあね。
ワンパターンな物しか作れない
ようじゃ、腕の方も高がしれてる
って思われるだろ」
なんて、もっともらしいこと
言ってごまかそうとしてるけど
――。
「意識して作風を変えたって
言うつもり?
たしかにそうかもしれないけど、
それだけじゃないわよね」
のに、わざわざ声をかけたのは
――確かめたいことが、あった
から。
そこにはもうひとつ椅子があった
けど、さすがに並んで座る気には
なれないあたしは、その場に
立ったままおもむろに話し出す。
「昼間の、矢崎さんの試作品。
お店でメニューになってるもの
とは、フンイキが違ったわね」
ピクッと矢崎さんの眉が動いた
のを、あたしは見逃さなかった。
その態度に、あたしの胸に静かな
確信が生まれる。
「そりゃあね。
ワンパターンな物しか作れない
ようじゃ、腕の方も高がしれてる
って思われるだろ」
なんて、もっともらしいこと
言ってごまかそうとしてるけど
――。
「意識して作風を変えたって
言うつもり?
たしかにそうかもしれないけど、
それだけじゃないわよね」

