言いながら爽介はチラッと行列に
目をやって、肩を落とした。
「これじゃ今日はムリだな。
今から並んでも何時になるか
わかんねー。
やっぱ予約しとかないとダメか」
「え……いいじゃない、並べば」
せっかく来たのに帰るなんて
もったいない。
それに、ここにコンクールでの
ライバルがいるってわかってて、
このまま黙って帰るなんてでき
ないでしょ。
でも爽介は、あたしのセリフに
『うへっ』て感じで顔をしかめる
と、
「イヤ……オレ、並ぶのとか
超キライなんだけど」
――――は?
キライって……そんな理由で、
帰ろうとしてんの?
「――あんたねっ!
コンクールとどっちが……!!」
大事なのよっ! って怒鳴って
やろーとする声に。
至近距離からの、よく通るハリの
ある声が重なる。
「あれ? 桐生クンじゃない?」
――――え?
あたしはピタッっとセリフを
切って、声の方向を見た。
目をやって、肩を落とした。
「これじゃ今日はムリだな。
今から並んでも何時になるか
わかんねー。
やっぱ予約しとかないとダメか」
「え……いいじゃない、並べば」
せっかく来たのに帰るなんて
もったいない。
それに、ここにコンクールでの
ライバルがいるってわかってて、
このまま黙って帰るなんてでき
ないでしょ。
でも爽介は、あたしのセリフに
『うへっ』て感じで顔をしかめる
と、
「イヤ……オレ、並ぶのとか
超キライなんだけど」
――――は?
キライって……そんな理由で、
帰ろうとしてんの?
「――あんたねっ!
コンクールとどっちが……!!」
大事なのよっ! って怒鳴って
やろーとする声に。
至近距離からの、よく通るハリの
ある声が重なる。
「あれ? 桐生クンじゃない?」
――――え?
あたしはピタッっとセリフを
切って、声の方向を見た。

