『……ホントにそれだけか?』
「――それだけよ」
胸が、小さい針でつつかれる
みたいにチクチク痛い。
ホントは爽介に隠し事なんて
したくない。
でも……やっぱり言えないよ、
あんな話。
言ったら、爽介は矢崎サンのこと
怒るに決まってる。
もしかしたら直接、何か言おうと
するかもしれない。
一緒にパリで行動しないといけ
ない相手と揉めたって、いいこと
なんてひとつもないし……何より
爽介には、雑念を持って本選に
臨んでほしくない。
そう思うと、あたしが今言える
ことは、これしかなかった。
「ゴメンね、心配かけて。
でもホント、なんでもないから」
『……………』
爽介は何も言わない。
電話だから、どんな顔で黙り
込んでるのか見えない。
沈黙に不安を感じて、爽介の名を
呼ぼうとしたとき、
「――それだけよ」
胸が、小さい針でつつかれる
みたいにチクチク痛い。
ホントは爽介に隠し事なんて
したくない。
でも……やっぱり言えないよ、
あんな話。
言ったら、爽介は矢崎サンのこと
怒るに決まってる。
もしかしたら直接、何か言おうと
するかもしれない。
一緒にパリで行動しないといけ
ない相手と揉めたって、いいこと
なんてひとつもないし……何より
爽介には、雑念を持って本選に
臨んでほしくない。
そう思うと、あたしが今言える
ことは、これしかなかった。
「ゴメンね、心配かけて。
でもホント、なんでもないから」
『……………』
爽介は何も言わない。
電話だから、どんな顔で黙り
込んでるのか見えない。
沈黙に不安を感じて、爽介の名を
呼ぼうとしたとき、

