君に幸せの唄を奏でよう。




「さ、先に言ってよねっ!」
「お前が、早とちりしただけだろ」

また、指摘をされた。

「~~そ、それは置いといて、どこで待ち合わせする?」

あたしは、強引に話を戻した。

「そうだな…。この前、会った河原は?」

あいつが、提案をしてきた。

「ダメ」
「なんでダメなんだ?」

あいつは、不思議そうに聞いてきた。

だって、あそこはお母さんとの【大切な場所】

「とにかく、ダメなの」

あいつは、理解できないと文句を言ってきそうだった。

「…分かった。じゃ、どこがいいんだ?」

あれ、聞いてこない?

「え、う~ん。○○○町に新しくできたカフェは?」
「あぁ。分かった」

あいつは、了解してくれた。

「何時がいい?」

「何時でも」

合わせてくれるんだ…

「じゃ、10時は?」

2時からバンドの練習があるため、午前中しか空いていない。

「分かった」

なんか、あっさり決まったな…

「あっ。そうだ」
「なんだ?」
「あんたの名前教えて」
「………は?」

あいつの声を聞き、我に返った。

って、なに聞いてるのあたしーーーー!!

これじゃまるで“あんたの事、気になってる”みたいに勘違いされるじゃない!!

「えっ、あ、その、一応、名前聞いておかないともしもの場合に対応できないじゃない」
「確かに。そうだな」

よしっ。気づかれなかった!!セーーーフ!!

「あたしの名前は、高橋 唄希」
「うたう……?」

ドキッ!

あいつが、低い声であたしの名前を言ったのでビックリした。

って、ときめくなー!