君に幸せの唄を奏でよう。




「…言えない場所に落ちてたの?」

あたしは、恐る恐る聞いた。

「…聞いて後悔しないか?」

あいつが、深刻そうに聞いてきた。

「う、うん」

あたしは、覚悟を決めた。

「……一応、綺麗には拭いておいた」

「う、うん」

ゴクッ。あたしは、生唾を呑んだ。

「……ごみ袋の上に落ちて-」
「○※■〒▲×$?!」

あたしは、言葉にならない声で叫んでしまった。

「うるせぇーッ!!電話ごしで叫ぶなッ!」
「まさか、ごみ袋の上に落ちてたなんてっ!あー聞くんじゃなかったっ!」

あたしは、もの凄く後悔をした。

「だから、お前に確認しただろ?!聞いて後悔しないかって?!」

あいつも怒りながら言ってきた。

「だって、黙られたら気になるじゃないっ!」

あたしも怒りながら言った。

「たくっ。もとはと言えば、落としたお前が悪いんだろ」

あいつは、呆れながら言ってきた。

うっ。確かに。

「悪かったわよ!これからは、気をつけるわよ!」

こいつに指摘されて悔しかった。

「…可愛くねぇ」

あいつは、ボソッと言った。

だまらっしゃい!

ただ、心の中で叫ぶしかなかった。

「で、どこで待ち合わせする?」

はい?なに言ってんのこいつ…?

ま、まさか!!これは、お約束の展開?!携帯を拾ったお礼にデートしろ的な?!!

「あんた…まさか、これを口実にデートに-」
「どこをどう聞けば、そうなるんだ?」

あいつは、冷静に言ってきた。

「じゃ、じゃあ、どういうことなのよ?」

あたしは、尋ねた。

「携帯。待ち合わせしないとお前に返せないだろ?」

なるほど。あたしは、こいつの言っている意味をやっと理解できた。