「…仕方ないな。行ってやるよ」

音夜は、面倒くさそうに言ってきた。

「本当、可愛くないわねぇ」

けど、あたしは知ってる。音夜は、面倒くさいと言いつつ毎回ライブに来てくれる。音夜にも、可愛いらしい部分があって安心して笑う。

「何にやけてるんだ。気持ち悪い」
「気持ち悪いって言うなッ!」

前言撤回ッ。やっぱ可愛いくない!

「クス。仲いいですね」

智香は、笑いながら言ってきた。

「「よくないッ!!」」

あたし達は、ハモってしまっい、互いを睨み合った。

「じゃ、そろそろ帰ります」
「待って、送っていく」

音夜は、靴を履きながら智香に言った。

「えっ…でも…近いし」
「いいから」

智香は、顔を赤くしてありがとうと呟いた。

「じゃ、送ってくる」
「うん。智香、また遊びに来てね」
「はい。お邪魔しました」

音夜と智香は、外に出て行った。

さて、ご飯の準備でもしようかな

あたしは台所へ向かったが、大事な事を忘れていたから、慌ててリビングに戻り、棚の上に飾ってある写真に向かった。

「お母さん、ただいま」

お母さんの写っている写真に話しかける。これが、我が家の日課。お母さんに挨拶が終わって、再び台所に向かった。

あたしは、昨日の残りのシチューを温め始めた。

「ただいま」

音夜が帰ってきた。

「おかえり。晩御飯の支度、手伝って」

あたしは、音夜に頼む。

「分かった」

音夜は、台所で手を洗いながら言ってきた。


「じゃ、机拭いて」


あたしは、フキンを渡した。


「分かった」


音夜は、受けとり机を拭いてくれた。