「髪切るの?」
「はい。この際、唄希さんぐらいにバッサリ切ろうと思って」
「智香なら絶対似合うよ」

あまりにも可愛い事を言ってくれる智香に、あたしの心は穏やかになる。

「もったいない」
「「えっ?」」

あたし達は、音夜の方を振り返った。すると、音夜は、智香の髪に優しく触れる。

「お前の長い髪が好きだ。せっかく綺麗なのに、バッサリ切るのはもったいない」

あんた、いつからそんな恥ずかしい台詞を言うようになったのよ!

「音夜くん…。分かった。髪は切らずに、量を減らすね」

智香は、うっとした表情を音夜に向ける。音夜は、嬉しそうにはにかんでいた。

「あの~あたしの存在忘れてませんか?」

もはや、2人にはあたしの声すら聞こえない2人はお構いなしで、イチャついている。

…こりゃ、ダメだな。

あたしは、自分の部屋に行くため階段を上った。

「あれ?どこやったっけ?」

あたしは、部屋に入り捜し物をしていた。あたしは、引き出しから見つけ急いで1階へ降りた。

「智香!」

あたしは、もう帰ろうとしている智香を呼び止めた。

「ドタバタうるさい」

音夜と智香があたしの方へ振り向いた。

「渡すの遅くなって、ごめんね」

あたしは、ライブのチケットを渡しながら言った。

「いつもありがとうございます。音夜くんと一緒に行かせてもらいます」

智香は、嬉しそうにチケットを受けとる。

「うん。楽しみにしててね」
「はい。音夜くんも行こうね!」

智香の期待を込めたキラキラの眼差しが、音夜
を見つめる。