君に幸せの唄を奏でよう。




「分かった。誉められるのが恥ずかしいから、亮太は照れたのよ!」

うんうん。これなら、つじつまが合う。

「えっ?」

あたしの言葉に、佳奈はビックリした顔であたしを見てきた。

「ち、違うの…?」

明らかに、佳奈の反応がおかしい。佳奈は、困った表情で、何か言いたげそうにしていたけど----。

「う~ん、ちょっと違うかな。そ、それより、上で浩ちゃん達が待ってるよ」

佳奈は、慌て話を代えた。

「…ねえ、佳奈。浩ちゃんまだ怒っていると思う?」

さっきから、もやっとしている事を思い切って佳奈に聞く。

「怒ってないと思うよ。だけど、浩ちゃんを見たら少し悲しそうな顔をしてたの」

佳奈の言葉で何となく分かった。あたし達はお互いを信頼しているから一緒にいられる。

浩ちゃんが“お金持ち”を禁句にしているのは、嫌な過去を思い出したくないのと、あたし達までにそんな目で見られたくないから。

「大丈夫だよ。仲直りできるよ」
「…うん。あたし、浩ちゃんにもう一度謝ってみる」
「うん。じゃ、早く上に行かなくちゃね」

佳奈は、優しく微笑む。あたしはギターをケースに入れ肩に背負い、佳奈と一緒に上に行った。

「お前ら、遅いぞ。」
「ごめん。片付けに時間かかちゃって」
「ごめんね」

亮太は、待ちくたびれていた見たいで、不服そうにあたし達を見る。

「唄希。浩平の手伝いして来い」

あたしは、浩ちゃんの所に行く。浩ちゃんは、あたし達の為に、お菓子を準備していた。

「こ、浩ちゃん!」
「…何?」

浩ちゃんは、あたしの顔は見てくれず、カップに紅茶を注ぎ続ける。浩ちゃんの態度から、怒ってるのが伝わってきた。勇気を振り絞って声を出す。

「あ、そのさっきは…」
「もう、気にしてないよ」
「え?」


予想外の答えが返ってきたので、ビックリした。