君に幸せの唄を奏でよう。





「それにしても、文化祭でライブか…。僕は、別に参加してもいいよ」
「「「へっ?」」」

浩ちゃんの言葉に、皆で聞き返す。

浩ちゃんが、積極的に言う事は滅多にない。あたしと同様2人共ビックリしてお互いに顔を見合わせる。

「……珍しいな。お前から言うなんて」

亮太は、不思議そうな顔で浩ちゃんに聞いた。

「そうかな?けど、絶好のチャンスだと思うよ。文化祭なら客が多いし、客を集める手間も省ける」

浩ちゃんの説得力のある言葉に、思わず頷きながら話を聞く。

「それに知名度も上がって、中にはライブハウスまで足を運んでくれる人が増える」

さすが、浩ちゃん。あたしも考えていたけど、そこまで考えていなかった。

「浩ちゃん凄いねっ!」

佳奈は、目を輝かせながら浩ちゃんを誉める。

「そ、そうかな?」

佳奈の言葉に、滅多に表情を変えない浩ちゃんが、一瞬だけ照れた顔をしたような………。

「さっすが、浩平だ!俺は、賛成。2人は?」

そんな事を考えてたら、亮太が嬉しそうにあたし達に聞いてきた。

「学校のみんなの前で演奏するの恥ずかしいけど、私も浩ちゃんの案に賛成かな」

佳奈は、少しだけ恥ずかしそうにしたけど、すぐに答えた。

「よしっ。唄希は?」

亮太は、キラキラとした期待を込めた瞳であたしを見る。

「えっ、あ、あたしも賛成」

確かに、この案に不満なんてない。

あたしは、浩ちゃんをチラっと見た。特に、様子も変わって無くて、亮太と楽しそうに文化祭のライブの話をしている。

………気のせいだったのかな。

「よしっ。じゃ、文化祭とライブ頑張るぞ!」
「「「「オーッ!!!」」」」

……まぁ、いっか。今は、文化祭とライブに集中しよ。

「で、盛り上がってる最中に悪いんだけど」

突然、浩ちゃんが話しを切り出した。

「もう、家の前に着いてるんだけど」
「「「えっ?」」」


あたし達は、浩ちゃんが指さす方向に振り向く。