君に幸せの唄を奏でよう。





「おいおい、大袈裟過ぎだろ…。なぁ?」

亮太はあたしの決意を茶化すように、佳奈と浩ちゃんに同意を求めた。

「「高橋(唄希ちゃん)なら、きっと乗り越えられるよ」」

茶化すどころか、浩ちゃんと佳奈は励ましてくれた。

「お前らノルのかよッ!」

亮太が、あたし達に言ってきた。

「じゃ、行ってきますっ!」
「「行ってらっしゃい」」
「無事に帰って来いよ~」

3人にもう一度見送られあたしは、職員室に向かった。

「し、失礼します~」

あたしは、勇気を振り絞って職員室に入る。辺りを見渡しながら、鈴木先生を捜す。

いた……!

自分の席に座って、コーヒを飲んでいる鈴木先生を見つけた。急いで、先生の机に向かう。

「先生っ!」
「ん?どうした、高橋?」

先生はコーヒーを手に持って、不思議そうにあたしをじーっと見つめてきた。

「出すの忘れていました!遅くなってすみません!」

あたしは、深くお辞儀をしながら両手で先生に課題を渡す。課題を受け取った鈴木先生は、手に取ったまま何も言わない。

やばいッ、無反応だ……!

「あ、ああ。そうだったな…。そう言えば、お前に課題出していたな」

えっ?今、なんて言いましたか?

予想外の答えが返ってきたから、思わず耳を疑ってしまった。

「お前に、課題を出してたの忘れてた」

……………はいッ?!

いやいや!昨日先生が課題出したくせに忘れないでよッ!

先生のせいで、こっちはどんな思いをしたと思ってるのよッ!

「……先生忘れないで下さいよ」

なぁーんてそんなことも言えず、あたしは心の中で叫んだ。

「よし。ちゃんとやってきているな」

先生は、課題のプリントが出来ているチェックしながら言う。

「まぁ、次からは授業中に寝るなよ」

さっきまで、忘れてたくせにぃぃぃッ!

「……以後気をつけます。失礼します」

でも、授業で寝てしまうあたしも悪い。もう終わったし、さっさと教室に戻ろう。

「そうだ。高橋」

教室に戻ろうとしたとき、先生はあたしを呼びとめた。