君に幸せの唄を奏でよう。




凄く楽しみだな……。あれ?よく考えてみたら、これってデートのお誘い?!

でも、橘 奏は、そんなつもりじゃないと思うしな。てか、あたしが自惚れ過ぎなのかな……。


「どうしたんだ?」


「う、ううん。何でもない。それより、宮木さん達とバーベキュー以外に何かしたの?」


一人で悩んでいるのが橘 奏にバレてしまい、それを隠すために強引に話を変える。


「そう言えば、バーベキューをした後に-----」


無理矢理に話を変えたのにも関わらず、たくさんの事を話してくれた。宮木さんが提案した罰ゲームを、宮木さん自身が何回も罰ゲームを受け続けた事。


他にも、大学でどんなことをしているのか話してくれた。とても興味深い話だったり、面白くて笑ったりした楽しい話だったりと、橘 奏の話を聞くのが楽しい。


「どうした?嬉しそうな顔をして」


「今日の橘 奏は、たくさん話をしてくれるから嬉しくて」


今思えば、こうやってゆっくりと話をした事は無かった。今まで、2人きりになる時はあったけど、歌の事でお互いに気まずい雰囲気になって、楽しい会話が出来なかった。


だからこそ、今この時間が楽しくて嬉しくて、もっと話を聞きたい。もっと、橘 奏の話を聞きたい。


あたしの言葉を聞いた橘 奏は、少し目を見開いて驚いてたけど、すぐに優しい笑顔に戻った。


「俺も、高橋とたくさん話が出来て良かった。今まで、ゆっくり話せなかったから、その分話が出来て俺も嬉しい」


その言葉を聞いて、あたしも橘 奏も同じ事を想ってたんだと分かって、嬉しい気持ちが大きくなった。


「発車します。次は、○○○」


嬉しい気持ちを壊すかのように、アナウンスが聞こえて現実に戻る。橘 奏との別れが近づいている。


後2つ先か……。もう、どうにもならないって分かっている。それでも、もう少し一緒に居られたらって思うのは、あたしの我が儘。


そんな事を繰り返して考えるたび、胸が苦しくなった。


「高橋、バス停から家まで何分掛かるんだ?」


「え?え~と、5分くらいかな」


「結構近いんだな」


「うん」


話が終わってしまい、ただ静かな空気が流れる。ふと隣に視線を向けば、橘 奏は窓の外を眺めていた。