君に幸せの唄を奏でよう。




突然の行動に戸惑っていたら、手を掴まれた。そして、あたしの掌に優しくテディベアーを乗せた。


「俺は、お前にあげたいんだ。だから、素直に受け取れ」


「あ、ありがとう……」


その言葉が凄く嬉しくて、思わず口元が緩んでしまう。今思えば、初めて橘 奏からもらった。きっと、これはあたしの宝物になる。


さっそく、テディベアーをカバンにつけて見せると、橘 奏は満足した表情をする。


「喉渇いたな。何か飲みに行くか」


うん!と、元気よく頷いて付いて行く。


何処で飲み物を飲もうかと相談しながら、ブラブラと歩いていたら自販機を見つけた。近いから、此処で飲むことにした。


自販機の商品を眺めていると、さっきの休憩場で飲め無かった発売のジュースがあった。


さっき、飲めなかったからこれにしよう。


ふと隣に視線をやると、橘 奏はどれにするか悩んでいた。その様子を見て、良い考えが思いつく。


「何飲むの?」


「そうだな……。清涼飲料水にでもしとくか」


欲しい物を聞き、先に500円玉を入れた。迷うことなく、オレンジジュースと清涼飲料水を選ぶ。ゴトっと飲み物が落ちてくる音を確認してから飲み物を取り出す。


「はい。あげる」


「高橋、さっきのは別に気にしなくても「あたしが嫌なの。だから、コレであいこにしよ」


さっきのは、すごく嬉しかった。だからこそ、あたしもあげたい。キーホルダーの金額には及ばないけど、受け取ってもらいたい。


すると、橘 奏はフッと小さく笑って柔らかい笑みを浮かべた。


「格好良すぎだろ」


格好良すぎって何が?あたし、なんか変な事をしたのかな?


その言葉が気になって、モヤモヤと考える。


そんな事を考えていたら、あたしの手からペットボトルが消えた。慌てて顔を見上げると、ペットボトルを持ってあたしに微笑みかける橘 奏の姿が目に入る。


「これ、ありがとうな」


微笑む表情に、胸の鼓動がトクン、トクンと速くなる。


鼓動の速度が収まらないまま、少し距離を開けてベンチに座る。だけど、さっきの時と比べて、この距離感がとてももどかしかった。


もう少し近づきたい。だけど、それ以上近づくのが怖い。モヤモヤした何かが胸を締め付ける。


どうしちゃったんだろう、あたし……。さっきまで、普通に接してたのに変に意識しちゃったり、悩んだりして……。

ええい!もう、考えるのはなし。とりあえず、果汁100%オレンジジュースを飲んで落ち着くのよ!


ペットボトルの蓋を開けて、オレンジジュースを飲む。だけど、横から視線を感じて飲むのを止めて振り向く。何故か、橘 奏が安心した表情であたしを見つめるから、ドキンと胸の高鳴りが大きくなった。


「少し元気になったな」


その表情を見て、あたしが何をしなくちゃいけないかを思い出させてくれた。