君に幸せの唄を奏でよう。




その後、ボウリングセンターの中にあるゲームーコーナーへと行った。暇つぶしにブラブラとUFOキャッチャーを見回る。


すると、UFOキャッチャーである物を見つけて目が釘付けになる。ケージの中には、掌にのるサイズで小花柄模様のテディベアーでキーホルダータイプ。しかも、ケージには限定商品と貼られていた。


かわいい!欲しいっ!


「ねぇ、コレしてもいい?」


「ああ」


橘 奏から承諾を得て、財布から200円を取り出してお金を入れた。操作ボタンを押すと、キャッチャーから可愛いらしいメロディーが流れる。それを聞きながら位置を定めボタンを押す。


だけど、位置が悪くて中々掴めない。悔しくて、もう一度お金を入れた。 それを繰り返し、3回目の挑戦でようやく掴んだ。


だけど、ギリギリの位置で掴んでるからテディベアーはグラグラと揺れ続ける。そして、景品口に向かう途中でポロッと落ちてしまった。


む、難しい!600円も費やしちゃった。この値段なら、お店でキーホルダーを2つも買える。お店で買った方がいいのかもしれない。


だけど、限定商品だから似たような物は売ってない。


するとケージの中に居るテディベアーは、愛くるしい瞳であたしを見つめる。


やっぱり欲しい!こうなったら、取れるまでやろう!


気を取り直して、財布から200円を取り出そうとするけど見当たらない。仕方がないから、両替機が無いか辺りを見渡すと、少し遠い場所にあった。


「ちょっと、両替してくる---?!」


声をかけた途端、チャリンっとお金が落ちる音によって言葉を妨げられる。何故か、橘 奏はお金を入れてプレイをしていた。


「……えぇぇ?!」


ただ、驚いて声を出すことしか出来なかった。一方、橘 奏はお構いなしにボタンを操作してキャッチャーを動かす。


そして見事に、テディベアーを掴み景品口へと運ぶ。キャッチャーが開く前にテディベアーは落ちてしまったけど、ギリギリ景品口へと滑り落ちる。


ただ、あたしは呆然とその光景を眺めていた。


「ほら」


景品口から、テディベアーを取り出してあたしに渡そうとする。


「ダメ!だって、橘 奏のお金で捕ったんだから自分の物よ。だから、受け取れない」


誰かに、おごってもらったりするのは嫌い。本当は凄く欲しいけど、やっぱり受け取れない。


「この前、俺の話を聞いてくれた礼だ。だから受け取れ」


凜とした声で言われて、トクンと心臓が跳ねた。そして、橘 奏から受け取ろうと手を差し出したけど……。


「いや、おかしくない?!さっき、あたしの話を聞いてくれたよね?!」


ふと我に返り、差し出していた手を瞬時に引っ込めた。


危ない危ない!雰囲気に流されるところだった!


すると、橘 奏はあたしに聞こえるように、わざと大きく溜息をついた。


「……そうか。高橋は、コレを俺に身につけさせて笑い者にさせたいのか」


「大丈夫!テレビで言ってたけど、最近かわいい系男子が多いって。だから、そんな感じでいいと思うわ」


「よくねぇよ」


あたしの提案は、瞬時に否定されてしまう。


すると橘 奏は、あたしの目の前にテディベアーをずいっと見せる。その行動に驚いて、少し後ずさりをした。