君に幸せの唄を奏でよう。




「慰められることによって甘えてしまう、弱音を吐いてしまう。そして、何よりも弱い自分を見せるのが怖かった。そうだろ?」


ただ、あたしは橘 奏の答えを否定せずに小さく頷いた。


橘 奏は、何一つ間違っていない。本当に、何もかも見破られてしまった。そのせいで、何があっても傷付かない、いつものあたしは何処かへと消えてしまった。今のあたしは、弱くて臆病者へと成り下がった。


「だから、責め過ぎなんだ。さっき高橋は、“あたしはずるい。亮太達を盾にして、自分を守ってたんだ”って言ってたけどそれも違う。

お前は、これ以上友達に迷惑をかけない為に気を張り続けてただけなんだ。甘えてはいけないと自分に言い聞かせて。そうだろ?」


何故か、言い当てられるたびに喉と胸が苦しくなる。おまけに、橘 奏の言葉を聞いて目頭がカァと熱くなる。


「それに、嫌がらせをされて平気な奴はいない。心がズタズタになっても悲鳴をあげていても耐え続けた。それを償いにするために。

お前のことだ、嫌がらせに慣れようと努力したんだろ?」


その言葉を聞いて、目に涙が溜まり始めた。急いで涙を拭うけど、次々と涙は溜まる。


何で泣いてるのあたし?そんなに慰められたいの?自問自答を繰り返して、頭の中が混乱する。


「自分の味方は自分しかいない。責めるのは、今日で終わりにして泣け。思いっきり泣いて、弱い自分を受け止めて前に進め」


気がつけば、目から涙がポロポロと零れ落ちていた。あたしは、震える手で橘 奏の服の袖を掴んで泣いた。


そして、この涙の理由を知った。この涙は、今まで弱いあたしを拒絶し続けていたせいで本当は何も見えてなくて、今まで亮太達を傷付けていた事が分かって悲しくて泣いた。橘 奏のおかけで、気付くことが出来た。


「高橋、これだけは忘れるな。お前は、誰も傷付けていない。幼いお前が、必死に友達を守ろうとしてやっただけで間違っていない。ただ、少しやり方を間違えて自分を追い詰めていただけだ」


橘 奏は、温かい言葉をかけながら頭を優しく撫で続けてくれた。


あたしは、自分を許すことが出来なかった。甘える自分が嫌い。なによりも、弱い自分が嫌い。


だから、そんな所を見せないようさらに気の強いあたしで居続けた。気の強いあたしというバリアを張って自分の心を見てみぬふりをした。


そうすることで、弱い自分を意識しないようにした。友達を守れる強いあたしでいたかった。