君に幸せの唄を奏でよう。




「友達は、お前のことを迷惑だなんて思っていない」


「え……?」


突然、そんなことを言うから動揺してボソっと声を零す。


亮太達は迷惑だと思っていない……?酷い事をしたのに?巻き込んだのに? 頭の中で、その言葉が駆け巡る。それと同時に、胸に埋まっていたドロリとした何かが疼いた。


「もし、高橋のことを迷惑だと思うならお前の傍を離れたはずだ。迷惑と思い込んでいるのは、お前だけだ。むしろ、友達は気にしていない。互いに迷惑をかけない友達なんていないからな」


真っ直ぐな言葉に驚いて、目を見開く。そして、震えながら声を絞り出した。


「……迷惑を、かけ続ける、あたしを?」


ボソボソと呟くあたしに気を遣ってくれたのか、またポンと頭に手を置いて撫でてくれた。


「そんなの決まってるだろ。お前の友達は、高橋の事が好きだからだ。大切だから、傍にいるんだ」


その言葉を聞いて、胸に埋まっていたドロリとした何かがすぅーと消えていく様な感じがした。


多分それは、亮太達があたしの事をどう思っているのか聞きたくて、でも聞くのが怖くてそれらの感情がつもって出来た不安の塊。それを、橘 奏が取り除いてくれた。


少し心が軽くなったのと同時に、あたしが恐れていた事が始まる。


「だから、もう自分を責めるな。許せ」


「やめて!」


思わず声を荒げてしまった。これ以上、橘 奏を見るのが怖くなって視線を逸らす。


ごめんなさい…。酷い事をして。だけどお願い、これ以上あたしの味方をしないで。じゃないとあたしは---。


「……お前は、あの出来事の全てを自分の責任にする事で悪役になり正当化した。自分には、そんなことをされる理由がないっと……。いや、それ以前に許せなかったんだろうな」


その言葉を聞いて、ドクンっと嫌な感じがして鼓動が早くなる。休憩場の近くで泣き続けるセミの声が遠ざかっていく。


お願い……言わないでっ!


そう声を出したかったのに、耳を塞ぎたかったのに、体が震えて何も出来ない。そして、あたしの願いは届かず言われてしまった。


「弱い自分を見せて、慰められることに」


ドクンッ!と大きく心臓が跳ねた。