君に幸せの唄を奏でよう。



「大丈夫。あんなのへっちゃらよ。それより、助けてくれてありがとう」


助けてくれて嬉しかった。でも、これ以上は迷惑をかけたくない。笑顔でお礼を言うと、亮太は少し安心した表情をしてくれた。だけど---。


ややこしくなった。もう、先輩達と亮太の誤解も解けない。本当は、亮太だけでも誤解を解きたいけど、佐藤先輩との間に起きた出来事を話さないといけない。


もし話してしまうと、あの約束を破ることになる。それを守るため、亮太の誤解を解きたくても出来ない。


「お前、佐藤先輩から告白されたんだろ?なんで、冗談だって言い切れるんだ?」


亮太は、困惑した表情で聞いてきた。おそらく亮太は、あたしが先輩達に言った発言に疑問を感じたんだ。確かに、あたしが亮太の立場だったら同じ事を聞くと思う。


でも、あれは告白じゃなかった。それに佐藤先輩は……。


「そんなの決まってるじゃない。佐藤先輩は、美人好きの有名。あたしなんかに告白するわけないじゃない。たまたま委員会で先生に頼まれて、2人で作業してたから暇つぶしにからかわれたのよ」


この情報は間違っていない。佐藤先輩の好きな女性のタイプは美人だって、クラスの子がキャーキャーと黄色い声で叫びながら騒いでいたのを覚えている。


だから余計に、からかわれたから腹が立つ。本当いい迷惑だわ!って怒ってたら、何故か亮太はガクッと肩を落としていた。


走って疲れたのかな?って思って、亮太に声をかける。亮太は大丈夫って答えたから、それ以上は聞かずに教室に戻って授業を受けた。


大好きな英語の授業なのに、頭の中ではさっきの出来事が鮮明に繰り返されていて、集中が出来ない。


先輩達に怒られるのは予測してたけど、亮太にこの事を知られるとは予想外だった。


でも、きっと亮太は、“あたしが佐藤先輩に告白されているのを先輩達にバレて反感を買った”って思ってるはず。


もういっそうのこと、この勘違いを貫き通すしかない。その方がバレずに済む。


だけど、あたしの考えはとても甘かった。放課後、いつもの様にバンドの練習をする為に浩ちゃんの家に行く。


でも、みんなの様子がおかしい。凄く深刻そうな表情をしている。みんなを見て嫌な感じがした。


そして、その予感が当たってしまった。浩ちゃんの家についた途端、練習場としている地下室には行かず、浩ちゃんの部屋へと連れられる。小さなテーブルにあたし、亮太、浩ちゃん、佳奈が互いに顔を見あわせられる様に座った。


そして、話し合いが始まった。その内容は、先輩達に対する対策だった。既に、浩ちゃんと佳奈はそれを知ってたから驚いた。きっと、亮太が連絡したんだ。