君に幸せの唄を奏でよう。



あたしの発言を聞いた佐藤先輩は、「フッ」と小さく笑う。


「“他人に対しては敏感で、自分に対しては鈍感か…。”やっぱり面白いな」


「…どういう意味ですか?」


よく分からないけど、佐藤先輩がバカにしているような気がして腹が立つ。だけど、またここで怒ってしまうとバカにされたまま終わってしまう。それは、それで悔しいから理由を聞くために堪える。


佐藤先輩は、「うーん」と悩んだ声を出しながら頭をポリポリと掻く。


「理解しちゃうと面白くないからなぁ。気が向いたら教えてあげるよ」


なにそれッ!良く分かんないんだけど!てか、完全に遊ばれているような気がする…!


「まぁ、でもヒントぐらいは教えてあげるよ」


ニコニコとした表情で、あたしをバカにしているような口調で話す。


もの凄く上から目線なんですけど……!なんなの、この人!


「高橋ちゃんは、損をするタイプだよ。俺みたいに、自分が得するように周りを利用すればいいのに」


にこやかな表情で、最低な言葉を吐く先輩に虫酸(むしず)が走る。そして、分かってしまった。この人は、本当に周りの人を友達を利用しているだけなんだ。人を道具のようにしか見ていない。


「あたしは、そこまでして得をしたいなんて思いません」


この人の言っている事はおかしい。それに、まともに聞いちゃダメって、頭の中で警告音が響く。


だけど、佐藤先輩は、そんな事はお構いなしに「えー」と不服そうな声を出す。


「本当にもったいないな~。高橋ちゃんは美人だから、その容姿を利用すれば楽に得をする事が出来ると思うよ」


「美人じゃないですし、絶対にしたくありません。なんで、そんなふうにしか考えられないんですか?!」


だって、亮太たちが居なかったら今のあたしは居ないと思う。友達という存在が、どれだけ大切なのかは独りぼっちだったあたしでも分かる。だから、佐藤先輩の考えが理解できない。


「甘いね。みんな誰しもが互いを利用してるんだよ。だから、信じるなんてバカらしい。結局は騙されてるんだよ。もちろん、高橋ちゃんだってその可能性はあるんだよ。君みたいなお人好しタイプは、利用される側だからね」


嫌みを含んだ言葉が、あたしの心に突き刺さるような感覚に襲われた。佐藤先輩は人間不信なんだ。何も信じられないから周りと距離を置いてる。


あたしも、小学校の時は人を信じるのが怖かった。信じたとしても、また独りぼっちになりそうで……。だけど--。