君に幸せの唄を奏でよう。




そして放課後。先生が指定した教室で、佐藤先輩と冊子作りを始める。


沈黙の中、黙々と冊子作りをする。ただ聞こえてくるのは、ホッチキスで紙をとめる音だけ。本当は、こんな事を呑気にしている場合じゃない。

今すぐにでも嫌がらせの理由を聞きたい。


だけど、先に聞いてしまうと険悪なムードになってしまう。そんな中で、一緒に作業なんて出来ない。せめて、自分の分だけでも終わらせる為に我慢をする。


「ねぇ、君の事を高橋ちゃんって呼んでいい?」


そんな事をお構いなしで向かいに座っている先輩は、ダラダラとプリントを束ねて、ホッチキスで止めながら話しかけてきた。


「はぁ…どうぞ」


思わず気の抜けた返事をしてしまう。


「やった」


佐藤先輩はニコニコとした笑顔で言ったけど、あたしはその笑顔が嫌い。何を考えているのか分からない。だけど、今はそんな事にかまっていられない。とにかく、冊子作りに集中する。


やっと、自分の分の作業が終わった。時計を見ると、30分ぐらい経っていた。窓の外を見ると、辺りは薄暗くなりグランドではサッカー部が後片付けをしている。


そして佐藤先輩は、相変わらずダラダラと作業を進めてるせいで、まだ半分も終わっていない。


なんで、環境委員長を決める時、佐藤先輩に賛成をしてしまったんだろう。…。まだ、その時は裏の顔を知らず、機敏で頼もしそうだったから選んだ。なのに、今はダラダラと作業をしている。おまけに性格も悪い。


あの時のあたしは、まんまと騙されていた…って、なに冷静に考えているの!早く聞かないと…!


「あの…佐藤先輩、一つ聞いてもよろしいでしょうか?」


「なに?」と、先輩はニコニコとした表情を向ける。


「どうして、浩ちゃんに嫌がらせをするんですか?」


遠回しに聞くよりも、ストレートに聞いた方がいい。あたしは知りたい。佐藤先輩が何を考えているのかを---。


「うーん…。実は友達に頼まれたんだよね。岡田をイジメてくれって」


「はぁ?!誰にですか?!てか、どうして引き受けたんですか?!」


意味が分からない!なんで、そんな事を頼まれて平気なの?いくら友達の頼みでも、むしろ止める。