君に幸せの唄を奏でよう。




次の日、環境委員会の先生に呼び出しをされた。


「先生、どうしたんですか?」


初めて、先生に呼び出されたから何の事なのか見当が付かない。あたしの問いかけに、先生は深刻そうな表情をするから何か失敗をしてしまったのかなと不安がよぎる。


「実は、明後日の委員会活動で配る冊子を作るつもりだったんだけど、急用が出来て作れなくなったの。で、1年生である高橋さんにお願いしたいの!頼んでもいいかな?」


南先生は、両手を合わせて申し訳ない表情で頼まれた。それと同時に、予想が外れてて安心して胸をなで下ろす。


「はい。大丈夫ですよ」


今日はバンドの練習もないし、遊ぶ約束もしてないから大丈夫。それぐらいの事なら、あたしでも頑張れそうだし。あっ。そうだ。後で、亮太たちに一緒に帰れないって伝えとかないと。


「本当?良かった~!ありがとうね」


あたしの答えを聞いて、先生はホっとして嬉しい表情をする。その表情を見て、他の1年生がダメだったんだな…と予想がつく。


「でも、やっぱり1人じゃあ大変よね。3年生にも頼んでみようかしら」


先生は机の引き出しから出席簿を取り出して、「誰に頼もうかな…」と呟きながら困った表情で悩む。


ふと、出席簿にある人の名前が目に入り、いい提案が思いつく。


「あの先生。佐藤先輩にお願い出来ませんか?委員長である佐藤先輩に、分からない所などを教えてもらいたいんですが」


ていうのは口実で、あたしの本当の目的は嫌がらせをする理由を聞きたい。本当は、佐藤先輩の居る教室に行こうとしたけど、ファンクラブの先輩たちに見つかって、変な誤解を招きそうで我慢をしてた。


ファンクラブは、佐藤先輩に好意を抱く人またはファンクラブの中で抜け駆けする人を許さないという恐ろしい噂が流れていた。それを聞いていたからこそ、佐藤先輩に近づくことが出来なかった。


でも、さすがにファンクラブの先輩が放課後まで残って居るとは限らない。もし見られたしても、委員会として佐藤先輩と居るだけだから変な誤解は招かないはず。それに、あたしには佐藤先輩に対して恋愛感情がないしね。


これはチャンス。逃すわけにはいかない--!


「彼の事すっかり忘れてたわ。そうね。佐藤くんに頼んでみるわ」


先生の態度を見て、本当に忘れてたんだ…と実感する。


「はい。ありがとうございます」


これで完璧!……て思ってたけど、その考えが甘いとは気付かず、さらに誤解を招きややこしくなるとは気づきもしなかった……。