【佐藤 Side】
「チッ」
イライラして、舌打ちをする。
あー。ムカつく。
久しぶりに、高橋ちゃんに会えたから、遊ぼうと思ったのに、さっきの男に、高橋ちゃんを持って行かれた。
面白くないし、あの男…気に入らないな。
まるで、高橋ちゃんを自分の物みたいな言い方してさぁ。
それに、高橋ちゃんも高橋ちゃんで、顔を紅く染めちゃって…。あんな表情、初めて見た…。本当、面白くないな。
今度、あの男に会ったら仕返ししてやる。
でも、あの男の名前とか知らないし、直接仕返し出来ないな…。
『橘…奏…?』
不意に、さっきの高橋ちゃんの発言を思い出し、引っかかりを覚える。
そう言えば、高橋ちゃんが、あの男の事をそう呼んでたな…。
橘 奏…。どこかで聞いたことがあるような…。
「くくく…」
ある事を思い出し、笑いを堪える事が出来ず、笑ってしまう。
4年前だったから、すっかり忘れてた。
間違いない、あの男は橘 奏だ…!ここに居るのが、何よりの証拠だ。
まさか、こんな所に、逃げていたとは思わなかったよ。そうと分かれば、こっちのもんだ。
俺のことを何も知らず、俺から高橋ちゃんを横取りしたことを後悔させてやる。
さぁて、どうしてやろうかな……。

