「唄…」
「なに?」
「無理して笑わなくていいんだ…」
唄は、ブランコを漕ぐ足を止めた。
「なに…言ってるの?無理して笑ってないわよ」
否定する声が、震えているのが分かる。
俺はブランコから立ち上がり、唄の頭を優しく撫でた。
「もういいんだ。辛い時は、我慢しなくていいんだ」
唄の肩は、小さく震えていた。
「う…うわあああああーーーーーー!!」
俺達しかいない公園に、唄の声が刹那に響き渡る。
俺は、唄の頭を撫で続けた。
「お母さんがヒック最後に言ってたの。“唄たちが生まれてきてくれて、ヒックお母さんは幸せ者よ”って。
あたし、何もしてあげられなかったーー!」
唄は、嗚咽しながら自分を責め立てる。
「違う。唄たちが居たから、お母さんは頑張ってこれたんだ。
自分を責めたら、お母さんが悲しむと思う」
何て言ったらいいのか、わからなかったが、思っていることを素直に伝えた。

