君に幸せの唄を奏でよう。




「今の曲を録音して、母さんにも聴かせてあげたかったな~。そしたら、母さん元気になるのに」


「どこか悪いのか?」


音夜の発言であることに気がついた。毎日のように唄の家に遊びに来ているが、一度も会ったことがない。


俺は、仕事が忙しくて家に居ないと思っていた。


「……病気になって、入院してるの」


唄の表情が曇っていた。

「…そうか。今日は、お見舞いに行かなくていいのか?」


「……うん。2週間かけて検査をしてるから、会えないんだって。

だけど、明日会えるから大丈夫!」


さっきまで曇っていた表情から、笑顔にかわった。


「……ごめんな。遊びに誘って」


俺は、申し訳ない気持ちで一杯になった。


「亮太は悪くないわよ」


だけど、この時俺は何も知らなかった。唄たちが辛い思いをしているのを………。


5日後のある日、珍しく唄が学校を休んでいた。


担任が教室に入ってきたが、いつもと雰囲気が違っていた。


「皆さん、今から言うことを静かに聞いて下さい。
…昨日、高橋さんのお母さんが亡くなりました」


え………?


先生の言葉を聞き、クラスメイトはざわめき始めた。


何が起こったのか分からず、俺はただ固まってしまった。