君に幸せの唄を奏でよう。




ヘタれな自分に腹を立てた。小学校から、ずっと一緒にいたから告る機会は何回かあった。


俺は自ら、その機会を放棄した。もし告ってフラれたら、バンド内は気まずくなり浩平たちにも迷惑をかけてしまう。


いや、それはただの言い訳だ。本当は、唄とのこの“曖昧な関係”を壊す勇気がなかった。


そんなことを考えている内に、家に着いた。そのまま部屋に直行した。


ベースを壁に掛け、ふとが目に入った。


ボードクリップには、みんなで撮ったプリクラや中学校の思い出の写真を貼っている。


必ず、写真に写っているのはいつもの4人。


俺のベースと同じぐらいの宝物。


そこから、ひとつだけ写真を取り出した。


それは唯一、唄と2人で写っている小学校4年生の写真。


写真の中の俺達は、運動会でお互い徒競走で1位になり、父さんのカメラに向かって笑顔でピースをしていた。


あの頃は、本当無邪気だったな……。


あまりの懐かしさにいろいろ思い出した。