そう言えば、あいつに対する印象が変わった。


初めて会った時は【あの頃の俺】と重なって、イライラした。


2回目会った時は、普通の女の子だった。反応が面白くて、一緒にいて楽しかった。


3回目は、自分が危険な目にあっているのに、友達を助けようとする姿を見て、いい奴だなと思った反面、危なかっしいと思った。


4回目は、自分が盾になって俺を守ろうとした。小さな背中で。

そして、泣かせてしまった。中途半端な俺を守ろうとしたせいで。


5回目は、俺のケガを心配して、わざわざ見舞いに来た時の姿を見て律儀だなと思った。


最近は、あいつと会うたび心が軽くなる感じがする。


その反面、時々怖いんだ。


あいつは、いつも真っ直ぐな瞳(め)をしてる。


その瞳(め)で見つめられると、【音楽をしていた俺】を掘り起こされそうで----。


いや、真っ直ぐて純粋な瞳で見つめられる事に、堪えられないのかもしれない。


今の俺は、あいつを“あいつ”として見ている。


じゃあ、俺はあいつの事をどう見てるんだ?


分かんね…………。


本当に、なにもかもが中途半端なんだよ…。


歌も生きるのも………。


俺は、自分自身に呆れた。


こんな、自問自答を繰り返して悩んで、女々しいな………。


もう、寝るか。


俺は、ベッドに入り眠りについた。