【奏 Side】
「それにしても、高橋さんはいい人だったわね」
母さんは、微笑みながら言う。
「…そうだな」
あいつには、悪い事したな……。
「宮木くんは、相変わらず元気ね」
「うるさいぐらいにな」
俺がそう言うと、母さんは嬉しそうに微笑む。
「ふふ。でも、奏が大学で楽しく過ごしているみたいで、嬉しいわ」
母さんは、嬉しそうな顔をしながら言った。
「…母さん」
「なに?」
俺は、あぐらをかいていた姿勢から正座をした。
「…俺は、もうすぐしたら20歳になる。自分の事は自分で出来る歳になった。
バイトも掛け持ちしてるからこれからの生活には、困らない…だから」
「だから?」
「……東京に戻っていいんだ」
これまで、母さんには迷惑をかけてきた。
俺のわがままで、母さんに我慢をさせたくない。
「いやよ」
「なっ?!」
予想外の答えに、声を上げる。
「例え、貴方が大人になっても私から見たらいつまでも子供なのよ」
母さんが優しく微笑んだ。
「…あの人と貴方に何があったかは知らないけど、私は、貴方と一緒に居たい。貴方を見守りたいの」
母さん…。
「話しは、これで終わり。洗濯物入れなきゃ」
母さんはそう言い、ベランダに出た。
なんでだよ…。俺のせいでめちゃくちゃになったのに…。
今の俺が、こうして居られるのも母さんのおかげだ…。感謝はしている。
でも…その優しさが逆につらいんだ…。

