君に幸せの唄を奏でよう。




「じゃあ、交換するか。赤外線でいいよな?」


「うん。先に送るわ」


互いに携帯を取り出し、赤外線をした。



ん……?ちょっと待てよ……。


あ、あたし…橘 奏とメ、メ、メアド交換してるーーーー?!


今更になって、何故かパニックになった。


そんなことを考えている間に、送信は完了していた。



「…じゃ、送るぞ」


「え、ぅんッ!」


やばっ! 声裏がえったしッ!


お願い、気付かれていませんように…!



「…ぶっ!」


思いっきり気付かれてるし…!!


「わ、笑わないでよっ!」


「悪い、悪い~」


絶対、そんなこと思ってないでしょーーー!!



心の中で叫んでいる間に、受信が完了した。


画面には、【橘 奏を登録しました】と、表示されていた。


やっぱいい名前だな…。

あたしは、見とれてしまった。



「交換もしたし、お前らは帰りな」



「でも、あんたはどうやって帰るの?」



あたしは、橘 奏に聞いた。



「病院側が、親に連絡してくれたから迎えに来てくれる」



「そう、よかった」



あたしは、安心した。


でも、やっぱり…


「…まだ帰れない。あんたの親に謝らなくちゃ…」


自分の子供が、他人のせいで傷つけられて黙ってられる親なんていない。



「そんな事しなくていいから、早く帰りな」



橘 奏は、あたしに言ってきた。



「じゃ、あんたの親が迎えに来たら帰る。それならいいでしょ?」



「俺たちにも、そうさせて下さい」



亮太が、橘 奏に言った。



「「お願いします」」


佳奈と浩ちゃんも言った。


みんな…。


「…ダメだ」


「どうして?!」


あたしは、橘 奏に詰め寄った。