君に幸せの唄を奏でよう。




手術室から先生が出てきた。



「先生ッ!手術はッ?!」


あたしは、先生に詰めよった。



「安心して下さい。手術は、成功しましたから」


先生は、微笑みながら言ってきた。



「ありがとうございます…!本当にありがとうございます…!」


「「「ありがとうございます」」」



あたし達は、先生にお礼を言った。



手術室から橘 奏が出てきた。



あたしは、すぐさま駆け寄った。



腕は、包帯で巻かれていて、痛々しかった。



「…ぅ…グスっ…ご、ごめんなさい…っ」



そんな橘 奏の姿に耐え切れず、泣いてしまった。


絶対に、泣かないって決めてたのに………。



「…気にするな。もう、大丈夫だから」


「嘘よっ!」


あたしは、少し大きな声を出してしまった。



「大丈夫…グス…なわけないじゃないっ!」



あたしは、橘 奏に言った。



「手術が終わっても…グスっ…痛いに…グスっ…決まってるじゃないっ!」



泣きながら言っているので、言葉が途切れ途切れになってしまった。



「……悪い。心配かけて。もう、大丈夫だから」


橘 奏は、あたしの頭を撫でながら言ってきた。



「~~ぅ~~グスっ~」


「お、おい?!」


涙が止まらないあたしに、橘 奏は驚いていた。



自分でも、よく分からないが、この涙は悲しい涙じゃなく、安心した涙だった。



「…落ち着いたか?」


「…グスっ…うん」


たくさん泣いたせいか、少し落ち着いた。



自分のせいで怪我させた相手に慰めてもらって………。



「そっか…よかった」


橘 奏は、何故か罰が悪そうな顔をしていた。



「………?」


何故、橘 奏がそんな顔をしたか分からなかった。


あたしが、泣いたからかな……?


あたしは、服の袖で涙を拭いた。