君に幸せの唄を奏でよう。



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「浩ちゃん達、大丈夫だよね…?」



佳奈は、不安そうに聞いてきた。



「うん…」


そう答える事しか出来なかった。



亮太と浩ちゃんは、手当をしてもらっている。


そして、橘 奏は、手術中。


医者によると、傷は浅いが縫わなくてはいけないと言われ、手術をしている。



ガラッ。


治療室の扉が開き、亮太たちが出てきた。



「亮太、浩ちゃん……」



2人は、痛々しい姿で出てきた。



亮太は、左の頬にガーゼを、口の端にはバンソウコウを貼っていた。


浩ちゃんは、腕に包帯を貼っていた。



「ごめんなさい……」



「「え?」」



あたしが言った途端、2人は、驚いていた。



「あたしが、巻き込まんだから…」



出てきた2人の姿を見て、涙が出るのを我慢した。



「違うよ…グス…も、もとはと言えば、私の…グス…せいで…」



佳奈は、泣きながら謝っていた。



「…お前らのせいじゃない。守れなかった俺らが、悪いんだ。ごめん」



「え…?」



亮太が、申し訳なさそうに謝ってきた。



「…守ってあげられなくて、ごめん」



浩ちゃんも謝ってきた。


「亮太たちは、悪くないわよ。あたし達を必死に守ってくれたじゃない…」



自分がそんなことを言う資格がないのは、分かっていた。



「ふ、2人共、怪我をしてまで…グスッ…守ってくれて」



佳奈は、泣きながら言った。



「まだ、手術中なんだね…」



浩ちゃんは、手術室をみながら聞いてきた。



「…うん」


あたしは、答えた。



「…そうか」


亮太は、罰が悪そうな顔をしながら言った。