君に幸せの唄を奏でよう。




「くそ…ッ!なんで、警察が…!」

男は、動揺していた。

でも、なんで警察が……?

「唄ちゃんっ!」
「佳奈…?」

佳奈が、慌てて走ってきた


「なん、け、警察が、こに?」


佳奈に【なんで、警察がここに?】と、聞きたかったが

まだ状況が飲み込めず、言葉にならなかった。


「私が…通報したの…。ごめんね、唄ちゃん達が危険な目にあってたのに…通報してて…」

佳奈は、申し訳なさそうに言ってきた。

「…自分を責めないで。佳奈のお陰で、警察が来てくれたんだから」

あたしは、佳奈に言った。

「やべッ!逃げるぞ-」
「逃がすか」

男たちは逃げようとしたが、後ろに回り込んだ警官によって、取り押さえられた。

「くそッ!」

男の手首に、手錠が掛かった。

残りのメンバーも、他の警官によって捕まえられた。

やっと、助かった…………。

「唄ちゃんっ?!」

急に体の力が抜けてしまい、地面に座りこんでしまった。

「大丈夫かい?」

警官が、あたしに尋ねてきた。


そうだ…!早く…!

「あ…あたしよりも早く皆をッ!!早く、病院にッ!!」

あたしは、警官に言った。

「分かった。急いで、病院に行こう。君たちも乗って」

あたしと佳奈と橘 奏は、パトカーに乗った。

亮太たちも、パトカーに乗ったのを確認した。

あたしは、怪我した橘 奏の腕を見た。

あたしのせいで…

「…出血も止まったから大丈夫だ」

橘 奏が気を使って、言ってくれてるのが、分かった。

泣いちゃダメ……あたしのせいなんだから……

両手の拳を強く握りながら堪えた。

あたし達は、病院に向かった。