君に幸せの唄を奏でよう。



「佳奈、怪我してない?」
「うん…大丈夫だよ」

佳奈は、少し泣きそうな声で言った。

「亮太、浩ちゃんッ!あたし達は、大丈夫よッ!」

あたしは、2人に言った。

「よくも、相原たちにッ!」
「手ぇ出しやがってッ!」

あたしが言った途端、亮太たちは、怒りながら男たちに反撃をし始めた。

亮太、浩ちゃん………

「よくもやってくれたなッ!」

あたしに手を噛まれた男が、殴りかかってきた。

あたしは、佳奈を自分から離れさせた。

今度こそ、あたしがなんとかしなくちゃ!

「さがってろ」
「え……」

突然、橘 奏があたしの前に立った。

「おわッ?!」

ダンッ!!

男の腕を掴み、出足払いで男を投げた。

「ぅ……ッ!」

男は、うめき声を出しながら仰向けに倒れた。

一瞬の出来事だったので、あたしは見とれてしまった。

見とれてる場合じゃなかった!

あたしは、橘 奏の所に行った。

「橘 奏っ!お願いっ、亮太たちを助けてっ!」

亮太たちの方を見れば、後1人だけ残っている。

しかも、亮太たちはあたし達のせいで怪我をしてしまったので、もう限界がきている。

「分かった。お前らは、どこかに隠れてろ」

橘 奏はそう言い、亮太たちの所に向かおうとしてくれた。


「うん。ありが-」
「このッ!ナメやがってッ!!」

あたしの後ろの方に倒れていた男が、叫びながら向かってきた。

何故か、男の右手の中が月の光の反射で怪しく光っていた。


あれは……ナイフだ-----ッ!!

あたしと男の距離は、そんなに離れていない。

この距離じゃ避けきれないっ---!!

ナイフが、目の前に迫ってきた。

もう、ダメっ……!

あたしは、怖くなり目を強く閉じた。

シュッ!!