君に幸せの唄を奏でよう。




「お願い………これ以上、みんなを傷つけないでッ!」

何も出来ないあたしは、これが精一杯だった。

「それは、無理だな」

あたしを捕まえた男は、言った。

「お前には、こいつらがボコボコになる所を見てもらう」

----ッ!!

「なんでよ……2人は関係ないじゃないッ!」

あたしは、男を睨みながら言った。

「ふ~ん。そんな態度をとってもいいの?」

こいつら、最低ッ!!

あたしは、悔しくて歯を食いしばった。

突然、顎を掴まれた。

「ほら、ちゃんと見とけよ。こいつらの次に、お前たちを可愛がってやるからよ」

顎を掴まれ、亮太達が傷つく所をただ、見ているだけ。

お願い…誰か、誰か………!

「ぐっ!」

突然、後ろからうめき声が聞こえた。

あたしの腕を捕んでいた手の力がゆるんだ。

慌てて後ろに振り返ると、男とゴミ袋が転がっていた。

なんで、ゴミ袋(しかも、生ごみ)……?

「本当、こりない奴らだな」

えっ……この声……

あたしは、声の主を見た。

「…橘……奏……」

あたしは、ビックリして呆然としてしまった。

何故か、橘 奏の服は私服ではなく、どこかのバイト服だった。

「このッ!」

ゴミ袋を投げられた男が、橘 奏に殴りかかった。

橘 奏は、男の拳をかわし、男の腹を蹴った。

「ぐッ………!」

男は、疼くまった。

「あんたらが、こいつらに先に手ぇ出したから、こっちも出させてもらう」

橘 奏は、男を睨みながら言った。

「おいッ!この子がどうなっても---」
「このッ!」

あたしは、男の手をおもいっきり噛んだ。

「ッ?!」

男は痛がって、佳奈を離した。