「遊………夏っ
はあはあ…くるっ、しっ…」
はあはあと息を整えるあたしを
ジッと見つめる遊夏。
苦しいしなんて
言い訳にすぎない。
それを遊夏には
見透かされたくない。
「遊夏……?」
「りんさあ…………
わかって拒んだでしょ?」
「―――……ッ。」
やっぱり………
わかっちゃう…。
涙が出そうでグッとこらえた。
「はあああ……。」
そうため息をつきながら
遊夏はソファーの
背もたれに腰掛けた。
「……泣くなよ。
余計、虚しくなるじゃん。」
下を向いて
頭をわしゃわしゃと掻く。
綺麗な栗色の髪がパラパラと
抜け落ちていった。
遊夏が髪を栗色にしたのは
あたしが一緒に行った薬局で
栗色の染め粉を見て
「こんな色の髪って
綺麗だろうねっ」
って言ったから。
少し雑く染め粉を取って
「買う。」
そう言ってレジに直行した。
そんな遊夏が可愛かった。

