大きな道路の片隅に、4匹の子猫がいました。

白い子猫が1匹と、黒い子猫が3匹。

子猫達には名前がありませんでした。

小さな段ボールの中で
小さな体を丸め合って
来るはずのない、飼い主の迎えを待っているのでした。

4匹の小さい子猫達は、一生懸命に鳴きましたが、結局、飼い主が現れることはありませんでした。

4匹の子猫達は、雨の日も風の日も、ただひたすら鳴き続けました。

そんなある日のこと、一人の女性が近付いて来ました。

見たこともない人間に、黒い子猫達は、小さく丸まった体を、更に小さくして怯えていました。

「大丈夫だよ。この人はいい人だよ」
白い子猫が言いました。

女性は、段ボールに書かれている文字を読んで、涙を流しました。
「大丈夫だよ。きっと助けてくれるよ。僕らを」
白い子猫は、怯える3匹の黒い子猫達の体を、頭で起し、女性の方へ進みました。

女性は、小さな声で鳴きながら、近寄ってくる子猫達を、優しく抱き抱えました。

「家に帰ったら、名前を考えようね」
女性の腕の中で、3匹の黒い子猫達は、ぐっすり眠っていました。
「ありがとう」
白い子猫が言いました。

女性は、驚いたように白い子猫を見ましたが、ミャーミャー。と言っているだけでした。
それから、4匹の子猫達は、名前をもらって、幸せに暮らしました。

「ぼくらに名前を付けてください」
そう書かれた段ボールは、月日と共に朽ち果てて行きました。