『一滴』の雫




はぁ。楊モテなくていいのに。


今はそれが何よりの悩みだな。


はぁー。溜息がどんどん出て来るよ。



『咲奈!おっせーぞ!

お前教室で待ってるッて言ったじゃねぇか!!』


げ!待たせてんの忘れてた…。


『ゴメン!楊!』



…あり?藍由がいない…。


『ねぇ楊!藍由知らない??』



『俺が来たときにはいなかったけど??』



え!?嘘!?じゃあ藍由はどこで何してるの!?


『あれ?藍由2時間前に出ていったんだけど…』



おかしいな。なんかあったのかな?



後で翔に聞こう。



『帰んぞー』



「はーい」



急いでカバンを取り、楊のもとへと急ぐ。


ふとそこに、翔が通り掛かった。



「翔!藍由知らない?」


すると翔が青ざめてこう言った。



「まだ藍由ちゃん帰ってないの…?」


「う、うん」



すると覚悟を決めたかのように静かに言った。