「バカヤロ、それフォローすんのがおまえの役目だろ・・・ッ」




うん、うん、って
何回もバカみたいにそれだけを繰り返して俺の背中をさすり続ける慶介の腕の中で、バカみたいに泣いた
25にもなって声をあげて泣く夜があるとは思わなかった



その日そのまま抱き合うように寝て

朝起きるとほっぽりだした俺と慶介のケータイには履歴を埋め尽くす家からの着信

留守電は聞かなかった




「帰ろうか」



世の中思うほど甘くない
だけど世の中思うほど厳しいもんばかりでもない


俺たちは傷つきながら日の当たる場所に出る
そして前を向いて手を繋ぐ


      終わり